Scotch Park スコッチパーク

アクセスカウンタ

zoom RSS 『私たちの幸せな時間』

<<   作成日時 : 2007/07/12 00:30   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

試写会に行ってきました。上映前、南野陽子のトークショーがありました。
スペシャルゲストとしか知らされていなくて、マスコミのカメラもわりと多いし一体誰が出てくるのかと結構期待していたのですが実に微妙。韓国映画が好きでよく見ている、と話していましたが、なんで南野陽子だったのかはよくわかりませんでした。声がとても綺麗だったのが印象的でした。


韓国のラブストーリーはあまり得意ではないので観ないのですが、この作品は友人が良いと言っていたので観に行きました。
表面的にはラブストーリーなのでしょうが、社会や人間の心に潜む根深い問題がたくさん描かれていて、単なる純愛映画とは違いました。予想していたより重いテーマが流れていて、考えさせられることの多い充実した内容の作品でした。


死刑囚の男性と自殺未遂を3回起こした元歌手の女性が出会い、惹かれ合うという設定です。
普通に考えるとありえない気がして最初のうちは一歩引いて観てましたが、誰にも言えずに苦しんできたそれぞれの過去が明らかになるにつれ、徐々に引き込まれていきました。


刑務所にいる死刑囚・ユンスと、元歌手のユジョンが出会えたのは、ユジョンの叔母さんがシスターだったから。自殺未遂で精神病院に入れられたユジョンを叔母さんが預かり、ある日、長年シスターとして訪問し続けている刑務所にユジョンを連れて行ったのです。わざわざ連れて行ったのには理由があって、ユジョンが歌手時代に歌っていた曲をユンスが好きで、一度会ってみたいと言ったからです。

会ってみたいと言ったはずなのに、最初ユンスはシスターにもユジョンにも全く心を開こうとしません。それどころか、帰ってくれ、早く死にたいなどと口走ります。必死になだめるシスターをよそに、ユジョンは死にたいと言うユンスの言葉を聞き、思わず声を上げて笑います。自分と同じく死を望むユンスに対し、ユジョンは興味を持ちます。

翌週、叔母さんが急用で刑務所に行けなくなり、替わりにユジョンがユンスに会いに行く事になります。
興味はあるけど、同情はない、そんな冷たく少々攻撃的な態度でユジョンはユンスに話しかけます。「なんで私に会いたいと言ったの?」「事件のこと色々調べてみたの。」などなど。突っぱねるような話し方、普通面会時には出さない話題、少々変わり者の訪問者に、最初は警戒していたユンスも関心を持ち、次第に会話をするようになります。

生きる事に絶望し、暗い影を背負った2人は、時間を重ねるうちにお互い似ていることを感じ始めます。誰にも言えずに独りで抱えてきた苦しみを打ち明け、慰め合うことで、生きることに希望を見出してきます。こうして毎週木曜日、10時から13時のユジョンが刑務所を訪れる時間が2人の幸せな時間となったのです。しかしユンスは死刑囚。2人に残された時間は長くありませんでした。


2人の苦しみが後から回想シーンで描かれるので、最初のうちは意味がわからずなんで?と思う部分が多かったです。
特にユジョンについてはわからない事だらけ。お嬢様で恵まれているはずなのに自殺未遂を繰り返していることはもちろん、母親と心から憎みあうぐらい仲が悪かったり、突然自分の車を前に止めてあった車にぶつけたり・・・。精神的に参っているのかとも思ってしまいますが、全ての理由は、ユンスとの関わりの中で少しずつ明らかになっていきます。
ユンスについても、孤児として弟と苦しい生活をしてきたこと、起こした事件の真相など胸にしまってきたことをユジョンに話すようになるので次第に状況がわかってきます。

ユジョンの苦しみがわかった時はかなり衝撃でした。その苦しみを引き起こした母親に嫌悪感が湧いてきて、それまでのユジョンの奇行にも同情してしまいました。


「赦す」ということについての2つのシーンが印象に残りました。
ユンスに娘を殺されたおばあさんが、神の教えに沿ってユンスを赦すと決心し、直接伝えたいからとシスターに頼み、本当はいけないのですがユンスに会いに行きます。
しかし、いざ本人を目の前にして、思わず何で殺したんだと詰め寄ってしまうおばあさん。泣き崩れ「すみません」と謝ることしかできないユンス。それでも我を取り戻したおばあさんは、「あなたは孤児だった、いくら憎んでも娘は帰ってこない」と言ってユンスを赦すのです。

もうひとつは、ユジョンが15年間憎み続けた母を赦したこと。死刑の執行が近いことを看守からこっそり知らされ、自分が一番嫌な事をすれば、ユンスを助けられるかもしれない、奇跡が起こるかもしれない、そう言って母親を赦すのです。長年拘り続けた母への憎しみを超えるほどのユンスに対する強い想いが伝わってきてとても切なくなりました。


ユジョンの想いが叶えられる事はなく、胸の痛むラストになりますが、正直あまり涙が出てきませんでした。ちょっと泣かせようとする演出が過ぎたからか、それともなんとなくしっくりこないからか。。。
やっぱりユンスが殺人犯で死刑囚というところがどうも引っかかってしまうんですよ。育った環境が良くないのは気の毒だけど、でももう大人だし不幸な子供時代を理由に人を殺していいわけないし、いくら本気で殺すつもりはなかったと言っても、何も悪い事をしてないのに殺されてしまった人もいるわけで、そういう背景がある中で恋愛をして生きる希望を見つけても、どうも身勝手な感じがしてしまい、理屈じゃないのだろうけれど、意識の中でピタッとはまりませんでした。
一方で、赦すというテーマについてはすごいな、と思いました。自分が同じ立場にあったら多分赦せないでしょうから余計に考えさせられました。


刑を執行する側の看守達の思いが描かれているシーンがいくつかあります。
ユンスを担当する看守はとても優しい人で、ユンスの想いを汲み、何度かこっそり規則違反までしてくれます。ユンスをなるべく長く生かしてあげたい、そんな気持ちが伝わってきます。
ユンスより先に1人の死刑囚が刑を執行されます。そのときボタンを押した看守たちが、仕事の後酒を飲みながら、今日は俺のボタンが当たったんだと嘆きます。あくまで仕事をしているだけなのですが、まるで悪い事をしたかのように自分でも感じざるを得ない看守と言う仕事。とても複雑で辛いシーンでした。


主演の2人は初めて見ましたが、難しい役どころを上手に演じていたと思います。絶望で暗く影を落としていた表情が気持ちを通わすことでだんだん明るく変化していく様子はとても良かったです。初々しくてもグロくてもストレートに表現するところは韓国映画の特徴だなぁと思うし、この作品はまさに両方のストレートさが出ている感じです。
韓国の映画が好きな人には見逃せない作品だと思います。1300円。


TOKYO FMホールにて試写会鑑賞 上映時間:2時間4分

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『私たちの幸せな時間』 Scotch Park スコッチパーク/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる