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zoom RSS 『ダーウィンの悪夢』

<<   作成日時 : 2007/01/26 00:24   >>

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タンザニアにあるヴィクトリア湖周辺の実情を記録したドキュメンタリーです。
ほとんどが現地に暮らす人々へのインタビューで構成されています。日本と無関係な話ではありません。ショックを受けながら観ました。


ヴィクトリア湖は九州の2倍もの大きさを誇る淡水湖。昔から、多種類の生物が生息するその湖は「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていた。1960年代、何者かが外来の肉食魚・ナイルパーチを放流する。ナイルパーチは、在来の小魚を食いつくし、激増。生態系は破壊の一途を辿る。それに伴い、現地の人々の生活も一変する。ナイルパーチは海外へ食用として輸出できる”金になる”魚。湖畔の町・ムワンザには加工工場が建設され、一大産業として栄え始める。
仕事にありつこうと、内地からムワンザに人が押し寄せるが、漁が可能なのは船をもつ者だけであり、全ての人に足りるほど仕事は無い。結局、職を持てない人々は湖畔にテント生活。無収入で貧困は変わらない。女性は売春にはしり、エイズが蔓延。親が病死し、町には身よりも家も無いストリートチルドレンが溢れる。


ナイルパーチを誰が何のために放流したかは諸説あり、はっきりしていません。湖の漁獲高を増やそうとしたようですが・・・。
ナイルパーチの大きさには驚きです。大きいものは、体長1m、重さ100kgにもなるそうです。口も大きく、確かに小魚など一気に飲み込めそう。姿を見る限り、あまり美味しそうには見えません。
加工工場では、地元の人々が包丁を使い、丁寧にさばいています。なかなかの腕前。骨と皮がきれいに取り除かれ、冷凍されて飛行機に積み込まれます。輸出先の1位はEU、2位は日本。弁当やファミレス、給食の白身魚のフライに多く使用されます。


湖畔には、ムワンザに似つかわしくない飛行機が毎日のようにやってきます。たまに積み過ぎで離陸直後に墜落するらしく、機体の残骸が残っているのが生々しい。水上に着陸することも珍しくないようです。パイロットはロシア人。ヨーロッパとアフリカを往復し魚を運びます。ムワンザでの夜は、決まって地元の若い女性を10ドルで買春します。


ストリートチルドレンたちは、強姦や空腹の恐怖から逃れようと麻薬のようなものを毎晩吸います。その麻薬は、魚の梱包材を溶かして作られます。
子供たちはだいたい小学生くらい。普通なら、目を輝かせ元気に遊びまわる年頃なのに、疲れ切った虚ろな目で宙を見ながらゆっくりタバコを吸う。ただただ、いたたまれない気持ちになります。たまに食糧が手に入ると奪い合いが始まります。本気での殴り合い。生活が厳しすぎて些細な事でも揉め事が起き、安心できる場所などありません。


一番ショックが大きかったのは、地元の人々が加工後の魚の残り物を食べていた事。頭と骨ばかりの残骸には、うじ虫が覆うほど湧き、それを払いながら干して乾燥させたのち、揚げたり焼いたりして食べるのです。
タンザニア政府は飢餓を訴え援助を要請する、町には満足に食べられない人々が溢れている、それなのに目の前の湖で獲れる魚を食べる事ができない。大きな矛盾を感じます。
魚が売れなければお金にはならない、でも魚を食べる事ができれば、少なくとも飢えで苦しむ人はいないはずです。


アフリカからEU行きの飛行機には魚が積まれるが、EUからアフリカには何が積まれてくるのか。初めはカラだと言い張っていた飛行機の乗組員がインタビューを続けるうちに重い口を開きます。「詳しいことは知らないが、爆薬や武器のようなものを積んでくる」、と。
ルワンダやアンゴラなど内戦をしているアフリカの他国に武器を運び、その後タンザニアにやってくるのです。EUの税関の職員も見て見ぬふり、武器をアフリカに売って儲かるのはEUです。
工場の経営者が、一度アンゴラに戦車のようなものを運んだことがあると言い、そのあと、「だけど、どうしろっていうんだ・・・。」と呟くように言ったのが印象的でした。


ここまで大きくなった連鎖は、個人の力ではどうしようもないことだし、貧困に陥った人々の裏には、魚産業で儲けたり、仕事を得ている人も沢山います。決してその土地に住む人々にとって悪い事だけではありません。
この作品の監督も「ポジティブな面は目立つから、今回はネガティブな面に目を向けて作った」と言っています。そして、「問題を解決するためにこの映画を作ったのではない、本質を見せることで観た人が何かを感じ、考えてくれればそれで満足」とも語っています。
本当にその通りだな、と思いました。今回はタンザニアのナイルパーチでしたが、どこか他の国でも他の産物でもきっと同じ様な事が起こっているでしょう。そういう背景があって、今自分の生活が成り立っている、ということをこの作品でハッキリ認識できました。そして、食べることは本来”生きるため”のものであり、○○を食べれば痩せる!といううたい文句があふれる生活に少し疑問を持ちました。


監督はこの映画を撮るのに4年かけたそうです。その間、タンザニアとヨーロッパを行き来し、長い年月をかけて人々との関係を築き、貴重なコメントを聞き出したのです。タンザニア政府は映画を作ることには反対だったので、警察に逮捕されたり拘束されたりと何度も厄介な目に遭ったそうです。たった2時間弱ですが撮影の大変さは十分伝わってくるので、1800円で損はないと思います。ほぼインタビューで構成されていて、説明が不十分なところもあるので、公式HPを見ておくとわかりやすいと思います。


チネチッタにて鑑賞 上映時間:1時間52分

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